【春合宿】和歌山合宿報告 筑波大学サイクリング部
こんにちは。51期ツーリング班、情報科学類3年の橋田です。
2026年2月27日から3月3日にかけて、和歌山県を舞台に4泊5日の春合宿を企画・実施しました。参加者は8人、総走行距離は約400km。機材トラブルや体の痛みはありつつも、大きな工程カットなく走り切ることができました。
今回の参加者は以下の通りです。
49期:森木、田中50期:光永51期:橋田、大和田52期:和田、河本、冨永

春に和歌山を走る理由
和歌山県は紀伊半島の先端に位置しており、和歌山に行こうと思わなければ訪れる機会が少ない場所だと思います。 そして和歌山には、春先だからこそ見られる景色や行事がいくつもありました。
1日目に訪れた川湯温泉の「仙人風呂」は、冬の間だけ川をせき止めて作られる大きな露天風呂です。2月末で終了してしまうため、今回の日程はまさにぎりぎりでした。また、みなべ町の南部梅林、3月3日に淡嶋神社で行われる雛流しなど、春の和歌山らしい見どころも多くあります。
さらに、熊野三山や那智の滝、本州最南端の潮岬、太平洋沿いの道など、走っていて飽きない場所が続きます。「春」に「和歌山」でやる理由が詰まった、かなり濃い合宿になりました。
現地集合
大学の春休み中の開催ということもあり、今回はつくば集合ではなく、旅の開始地点である新宮駅に14時頃集合としました。実家から来る人、直前まで海外にいた人、前日から三重県を走って合流する人など、移動経路はさまざまでした。
僕を含めた多くの参加者は、早朝につくばを出発し、新幹線と特急南紀を乗り継いで新宮へ向かいました。輪行袋を持っての長距離移動はそれだけで一仕事ですが、無事に全員が新宮駅に集合。ここから和歌山合宿が始まります。

1日目 新宮駅から本宮へ
初日は、新宮駅から熊野川沿いに本宮方面へ向かう約35kmの行程でした。集合後すぐに自転車を組み立て、初日の宿泊地である本宮を目指して出発します。
熊野川沿いの道は、広い河原と山に囲まれた景色が続きます。つくば周辺ではなかなか見られないスケールの川で、走り出してすぐに「和歌山まで来たな」と感じられる道でした。途中で河原に降りて休憩しながら、少しずつ本宮へ進みます。

天気はやや不安定で、後半は雨がぱらつき始めました。雨脚が強くなる前に宿へ着きたいということで、少し急ぎ気味に走行。16時半頃、1日目の宿である「温泉民宿 大村屋」さんに到着しました。自転車を軒下に置かせていただき、チェックイン後はさっそく宿の目の前にある川湯温泉の仙人風呂へ向かいました。
仙人風呂は、川の一部がそのまま温泉になっているような場所です。水着着用の混浴で、温泉が湧いている場所はとても熱いのですが、川の本流に入ると一気に冷たくなります。その温度差も含めて、普通の温泉とはまったく違う面白さがありました。冬の間しか入れない場所に、合宿初日から入れたのはかなり贅沢だったと思います。
夜は宿で夕食をいただきました。豪華な御膳に加えて、女将さんのご厚意でお寿司もたくさん出していただき、全員満腹になりました。51期の大関も車で来てくれて、初日と2日目の夜を一緒に過ごすことになりました。



2日目 熊野三山と勝浦のまぐろ
2日目は、観光要素がかなり多い日でした。本宮から出発し、熊野本宮大社、熊野速玉大社、那智大社を巡りながら、勝浦方面へ向かいます。走行距離は約86kmでした。
まずは宿からほど近い熊野本宮大社へ。サッカー日本代表のシンボルとしても知られる三本足の烏、八咫烏が祀られています。朝の空気の中で参道を歩くと、合宿というより修学旅行のような気分にもなりました。
その後、熊野速玉大社を目指して新宮方面へ向かいます。しかし道中でトラブルが発生。52期の和田が鋭利な石を踏んでしまい、タイヤがバーストしてしまいました。通常のパンクより厄介な状況でしたが、田中先輩が持っていたタイヤパッチで応急処置をし、なんとか新宮市街まで到達。新しいタイヤを購入して、無事に走行へ復帰することができました。

新宮では、熊野速玉大社に加えて、阿須賀神社と神倉神社にも立ち寄りました。特に神倉神社は、500段以上の急な石段を登った先に大きな岩と社殿があり、新宮の街と海を一望できます。自転車で走ってきた後に登るにはなかなか大変でしたが、上からの景色はそれ以上の価値がありました。

昼食は勝浦でまぐろをいただきました。勝浦は生まぐろの水揚げで有名な港町です。今回の合宿の少し前に、サイクリング部OBのMさんもほぼ同じルートで和歌山を走っており、Stravaでおすすめされていた「大和」さんにお邪魔しました。
僕は大和DX丼を注文しました。値段はなかなかしますが、丼からあふれそうなほどのまぐろは新鮮で、部位ごとの違いを食べ比べられるのも楽しかったです。走ってお腹が空いた状態で食べるまぐろ丼は、かなり強かったです。

食後は那智大社へ向かいました。最後の坂を登り切ると、日本最大級の落差を誇る那智の滝が目に入ります。疲れが一気に吹き飛ぶほどの迫力で、今回の合宿の中でも特に印象に残っている景色の一つです。那智大社では、御神木「那智の樟」の根元をくぐる胎内くぐりも体験し、それぞれが思い思いの願いを書いて奉納しました。
この日の宿は、勝浦から少し進んだ下里の古民家一棟貸しでした。夜はBBQをして、長い1日の疲れを癒やしました。大関が車で来てくれていたこともあり、食材や道具の準備もかなり助かりました。炊飯器で米をたくさん炊き、肉を焼き、キムチ鍋も作り、かなり自由度の高い夕食になりました。古民家を一棟借りて、みんなで台所を使いながらご飯を作る時間も、合宿らしくてとても楽しかったです。
神社、まぐろ、滝、BBQと、2日目だけでも十分に合宿一本分の思い出があるような濃さでした。



3日目 本州最南端へ
3日目は、今回の合宿で最も長い約131kmの行程でした。下里を出発し、串本、潮岬、すさみ、白浜方面を経由して田辺へ向かいます。観光もしたい、距離も長い、アップダウンもあるという、かなり走りごたえのある日です。
この日は天気に恵まれ、太平洋沿いの道を気持ちよく走ることができました。海の色がとにかくきれいで、写真を撮りたくなる場所が次々に現れます。一方で、海沿いだから平坦というわけではなく、常にしっかり登り返しがあります。景色に励まされながら、脚を使わされる1日でした。

この日は、たまたま串本町でロケットの打ち上げ予定があった日でもありました。事前には全然知らなかったのですが、道中には警備の人が多く、ロケットを撮ろうとするカメラマンの列もできていて、町全体がいつもと違う空気になっていました。
ちょうどお昼頃に打ち上げ予定とのことで、僕たちは本州最南端のあたりで「今か、今か」と空を見上げながら待っていました。空は本当に快晴で、「これはさすがに打ち上がるでしょう」と思っていたのですが、上空の気流の影響でまさかの中止。結果としてロケットを見ることはできませんでしたが、旅先で偶然こういう大きな出来事に遭遇するのも、自転車旅らしい面白さでした。
今回の合宿の大きな目的地の一つは、本州最南端の潮岬です。「本州最南端」の碑の前で集合写真を撮ると、地図の端まで自転車で来た実感が一気に湧きました。つくばから新宮まで電車で来たとはいえ、そこから自分たちの脚でここまで移動してきたことを考えると、なかなか感慨深いものがあります。

その後も、海岸線や山が迫る道を抜けながら北上していきます。ただ、ロケット打ち上げ予定の影響もあってか、周辺道路はかなり混雑しており、通り抜けるのに苦労する場面もありました。
さらに大変だったのが昼食です。潮岬から数十km進んだあたりで昼ご飯を食べようとしたのですが、なかなか食事できる場所が見つかりません。走っているうちにどんどん時間が遅くなり、ようやく小さな町にたどり着いたころには15時頃になっていました。そこでもご飯屋さんは閉まっており、結局近くのスーパーでお惣菜などを買って、各自で遅めの昼食をとることになりました。
その時点で16時前。ここから白浜で夕日を見たいなら、かなり頑張ってこがないと間に合いません。そこで2班に分かれ、それぞれ白浜方面を目指すことにしました。森木さんが率いる班は、完璧なペース調整で夕日に間に合い、白浜付近の千畳敷で夕日を見ることができたそうです。
一方、僕が率いた班はなかなか速度を維持できず、本当にぎりぎりの到着になりました。それでも、日が沈む瞬間にはなんとか間に合い、海沿いで夕日を見届けることができました。その後は南紀白浜まで行き、僕は海に入って少し泳ぎました。長距離を走った後に夕日を追いかけ、最後は海に入るという、よく考えるとかなり不思議な1日でした。



3日目は、観光の華やかさとロングライドの厳しさが両方ある日でした。個人的には、「和歌山を自転車で走るなら、ここは外せない」と思える景色が続いた一方で、昼食難民になったり、夕日を追いかけて必死に走ったりと、合宿らしい体力勝負の日でもありました。
4日目 雨と梅と、和歌山市へ
4日目は田辺方面から和歌山市へ向かう約123kmの行程でした。前日に続いて100kmを超える長い日で、疲労もだいぶ溜まってきています。
朝は南部梅林方面へ。春合宿らしい景色を期待していた場所の一つです。ところが、行ってみると梅はほとんど散っていました。どうやら前日が梅林の最終日だったようで、音楽フェスやお祭りも行われていたらしいのですが、僕たちが着いたときには花の時期はほぼ終了。葉や花の少ない木々が一面に広がり、ところどころに梅が少し残っているくらいでした。

一方で、この日は天候との戦いでもありました。雨が本当に強く、レインウェアを着ていても気持ちが削られるような時間が続きました。途中では、雨が弱まるまで薬局で雨宿りもしました。みんなのテンションが下がりがちな中で、田中先輩が明るく場を盛り上げてくれていたのが本当にありがたかったです。あの雰囲気にかなり助けられました。
路面が濡れていると、普段以上に気を遣います。加えて、連日の走行で膝に痛みが出たメンバーもいました。
ここで無理に全員で走り続けるのではなく、痛みのあるメンバーには一部区間を輪行してもらい、被害を最小限に抑える判断をしました。痛いことをきちんと伝えてくれたこと、周囲もそれを受け止めて動けたことは、とても良かった点だと思います。合宿は「全員が全区間を根性で走る」ことが目的ではなく、全員が無事に帰ることが一番大切です。
御坊方面を抜け、白崎海岸周辺の道を越え、雨の中を和歌山市へ。終盤はかなり疲れましたが、暗くなる前後に市内へ入りました。夜は和歌山ラーメンをしっかり食べ、温かいものが体に染みました。その後は少し高級そうな飲み屋さんにも入り、おいしい料理とお酒を楽しみました。和歌山といえば梅も有名なので、梅酒も少しいただきました。長い4日目を越えたことで、合宿のゴールがかなり近づいてきた感覚がありました。



5日目 淡嶋神社の雛流し
最終日は、和歌山市内から加太方面へ向かう約25kmの短めの行程でした。前日までに比べると距離はかなり短いですが、3月3日の和歌山でぜひ見たかった行事があります。淡嶋神社の雛流しです。
ただ、この日は強い雨の予報でした。そこで、ホテルをチェックアウトする前に朝のうちに一気に走って、淡嶋神社まで行くことにしました。
淡嶋神社には、多くの雛人形が納められており、境内に並ぶ人形の数と雰囲気に圧倒されます。雛流しを見届けることはできませんでしたが、神社の空気に少し触れられただけでも、3月3日に和歌山へ来た意味がありました。

加太では、太平洋岸自転車道のモニュメントにも立ち寄りました。千葉県銚子市から続く長い道の端に自分たちがいることを確認し、モニュメントの前で写真を撮りました。
その後はいったんホテルへ戻り、シャワーを浴びてから和歌山市街を散策しました。和歌山城に立ち寄ったほか、特に面白かったのは、自転車をこいで織物コースターを作れるアトラクションです。自分でデザインしたコースターを作ることができ、最後まで和歌山らしい体験ができました。


夕方には解散となり、参加者はそれぞれ筑波方面や新幹線方面へ帰っていきました。
新宮駅に集まってから5日間。山、川、海、温泉、神社、港町、梅、お城と、和歌山のいろいろな表情を自転車でつないだ合宿でした。
反省とまとめ
今回の合宿は、工程カットなしで進められた一方で、トラブルがまったくなかったわけではありません。2日目にはタイヤのバーストがあり、後半には膝を痛めたメンバーもいました。
バーストについては、タイヤパッチを持っていた人がいたことで応急処置ができました。今後の合宿でも、普通のパンク修理セットだけでなく、タイヤの裂けに対応できるパッチやタイヤブートになるものを常備しておくべきだと感じました。
膝の痛みについては、本人が早めに伝えてくれたことが本当に良かったです。合宿中は、周りに迷惑をかけたくない気持ちから無理をしてしまうことがあります。しかし、痛みや不調を共有してもらえれば、輪行や休憩、ルート調整など、できる対応はあります。安全に帰るためには、走力だけでなく、そうしたコミュニケーションも大切だと改めて感じました。
それでも、8人で約400kmを走り、熊野三山から本州最南端、和歌山市まで大きくつなげられたことは、かなり良い経験になりました。特に52期にとっては、長距離の合宿を通して得たものが多かったのではないかと思います。しんどい場面もありましたが、走り切った後に残る達成感は、やはり合宿ならではです。
筑波大学はイベントごとにGooglePhotoアルバムを作り、みんなが撮った写真を共有しています。今回の和歌山合宿のアルバムに集まった枚数は驚異の800枚!このブログでもたくさんの写真を楽しんでいただけたと思います。



最近は、AIがどんどん発達しており情報をリサーチしたり、アイデアを提案したりするのがますます上手になっています。AIロボットが人の労働を代替していくという未来もそこまできているはずです。そんな中で僕ら人間だけができるのは、「体験すること」ではないでしょうか。実際にペダルを漕いで、仲間とご飯を食べて、絶景を見て感動するのはいつまでも私たちにしかできません。この和歌山での合宿が私たちにとって価値ある大切な体験になったはずです。
宿でお世話になった皆さま、道中で助けてくださった方々、事前にルートやおすすめを共有してくださったOBの方々、そして参加してくれた部員のみんな、本当にありがとうございました。
これからも筑波大学体育会サイクリング部をよろしくお願いします。
51期ツーリング班 橋田



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